2005年10月27日(木)21:19

EU加盟国は中期予算の12月合意を決定

ハンプトンコート(AP)

EU各国は12月までに、論争中のEU中期予算問題の合意を図ることを決定した。イギリスのトニー・ブレア首相は木曜日、ハンプトンコートで開かれたEU首脳会議の閉幕にあたり、12月までに妥協が得られるとの「確信」を表明した。しかし「大きな課題」であるとも語った。だがグローバル化への対応戦略ではEU内で大きな意見の隔たりが見られた。

ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、EU予算協議に関して現政権以上に「新政権が大盤振舞いできるなどという誤った期待」を抱かぬよう釘をさした。2007年から2013年までのEU予算枠の交渉で私自身が行った譲歩は「精一杯のもので限度を少し越えている」とシュレーダー首相は語った。しかし首相は、ハンプトンコートの会談が「合意の気運を醸成した」首脳会議になったとの見解を表明した。

欧州委員会のジョゼ・マニュエル・バローゾ委員長もこれまで以上に楽観的な見解を示した。私とブレア首相は、再度予算協議が決裂した場合には、新規加盟国が約束の補助金を受け取れない事態が生じると警告した、と委員長は述べた。ハンプトンコートでは協議は行われなかった。そのためEU各国が予算案で歩み寄りを見せたかも明らかでない。

ブレア首相は11月に妥協案を提示する意向である。6月のEU首脳会議ではとりわけブレア首相の態度のために合意が得られなかった。ブレア首相は予算案をグローバル化への対応と絡め、農業補助金などを削減しようと考えている。しかしフランスはきっぱりとこれを拒否している。

シラク大統領は首脳会議でEU各国に対し、共同の農業政策に対する敬意を求めた。大統領はこれに関連し、もし欧州委員会が農業補助金の削減で過度の譲歩を行うならば、フランスは現在行われている世界貿易協議で拒否権を行使するとあらためて警告した。

しかしEU首脳会議の焦点は、どのようにEUがグローバル化に対応すべきかという問題であった。ブレア首相は、首脳会議では「EUの経済プロジェクトを正しい方向に導こうという私たちの意向」が確認された。私は各国首脳が「欧州を再び前進させよう」としているとの印象を受けた、と語った。

しかしシュレーダー首相は、バローゾ委員長が提案し、ブレア首相が支持したグローバル化基金の計画に対して懐疑的な意見を述べた。この基金は毎年約5億ユーロを計上し、差し当たり2013年まで、グローバル化の打撃を受けた地域や労働者の構造改革を支援するというものである。

この基金に対してはスカンジナビア諸国およびバルト諸国の首脳からも批判の声があがった。一方フランス、イタリア、ポルトガル、スペインなどはこの提案を支持した。

シュレーダー首相は、グローバル化に対応するためにEUが経済・社会モデルを改革しなければならないとのブレア首相の主張に対しても反論した。経済効率は社会的連帯を維持する政策と結びつける必要がある。改革には「正しい判断と社会的バランス」が欠かせない、とシュレーダー首相は述べ、「欧州市民は国の保障なく大きな生活の危機にさらされることを望んでいない」と強調した。

シラク大統領もEUに対し欧州の社会モデルから逸脱せぬよう呼びかけた。ブレア首相とバローゾ委員長は5項目のEU改革プログラムで、教育・研究予算の拡大、共同のエネルギー政策、テロに対するEU戦略、共通の移民政策、ならびに一層の市場拡大に向けた措置を主張している。

原題:EU-Staaten zu Einigung in Finanzstreit entschlossen




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